サンダルばきの女神

おれと彼女の日々

2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧

僕は負けそうだ

おれが入院中、何してた?相変わらず本を片手にコーヒーを啜る彼女に訊いた「浮気してた」あーそー「普通に暮らしてましたよ、父と、母と」 「時々、ここへ来て本読んだり」 「Sのゴハン作ったり」Sと言うのは俺たち共通の古い友人で 元はここの家主という…

彼女について知っている二、三の事柄

本が増えているリビングの床に積み上げられた本 新しい本ではなく、おれの書棚から抜き出された本 その間に古い文庫本が数冊 こうしている間も、彼女は1冊を手にして 寝そべりながら読み耽っている 時々「大丈夫?」とこちらを気にする風 どうぞ、気にせず…

夜は静か 通り静か

1ヶ月余りの短い間に、彼女は驚くほど痩せていた 「二の腕なんて、ホラ」 タルタルと緩んだ皮膚を揺らせて見せて 彼女はあはは、と笑った自分の体が思う様にならなくなって おれは彼女に抱かれて眠るようになった彼女の腕に耳を付け 夜の静寂から自分自身を…

帰還 - ただいま

今朝、ひとりで退院した自分で私物を畳んで自分で金を払い、 自分でタクシーを止めてまっすぐ無花果亭に帰った 彼女はそこにいた ニッコリ笑って「おかえりなさい」と ちゃんと片付けて掃除して、待っててくれたんだな 椅子に座るより楽だと言ったから、 毛…